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岐阜地方裁判所 昭和42年(わ)46号 判決 1968年4月10日

本店所在地

岐阜県関市平和通八丁目二番地

福田刃物工業株式会社

右代表者代表取締役

福田吉蔵

本籍

同市河合町二〇番地

住居

同市森西町一番地

会社役員

福田吉蔵

明治三四年七月二三日生

被告事件名

法人税法違反

出席検察官検事

北原外志夫

主文

被告会社を罰金三〇〇万円

被告人福田吉蔵を懲役一〇月

に各処する。

被告人福田吉蔵に対しこの裁判確定の日から三年間右刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告会社は、関市平和通り八丁目二番地に本店を設け、機械刃物類の製造販売を目的とする資本金一〇〇万円の株式会社であり、被告人は、被告会社の代表取締役としてその業務一切を統轄掌理しているものであるが、被告人は、右会社の業務に関し法人税を免れようと企て、売上の一部を簿外にしてこれを隠匿する等の不正な方法により、

第一、昭和三八年一月一日から同年一二月三一日までの事業年度における被告会社の実際の所得金額が一九、五一九、〇〇〇円であり、これに対する法人税額は七、二六八、〇〇〇円であるのにかゝわらず、昭和三九年二月二九日所轄関税務署長に対し、同事業年度の所得金額が一、二六〇、〇〇〇円にして、これに対する法人税額が三七一、〇〇〇円である旨虚偽の法人税確定申告書を提出し、よつて被告会社の同事業年度における法人税額六、八九七、〇〇〇円を免れ、

第二、昭和三九年一月一日から同年一二月三一日までの事業年度における被告会社の実際の所得金額が一四、八〇六、〇〇〇円であり、これに対する法人税額は五、四四四、〇〇〇円であるのにかゝわらず、昭和四〇年二月二七日所轄関税務署長に対し、同事業年度の所得金額が一、一九六、〇〇〇円にして、これに対する法人税額が三六四、〇〇〇円である旨虚偽の法人税確定申告書を提出し、よつて被告会社の同事業年度における法人税額五、〇八〇、〇〇〇円を免れ、

第三、昭和四〇年一月一日から同年一二月三一日までの事業年度における被告会社の所得金額が一四、九五六、〇〇〇円であり、これに対する法人税額は五、三一一、〇〇〇円であるのにかかわらず、昭和四一年二月二八日所轄関税務署長に対し、同事業年度の所得金額が一、四三八、〇〇〇円にして、これに対する法人税額が四〇九、〇〇〇円である旨虚偽の法人税確定申告書を提出し、よつて被告会社の同事業年度における法人税額四、九〇二、〇〇〇円を免れ

たものである。

(証拠の標目)

一、吉田作成の登記簿謄本

一、山本市蔵作成の証明書(四通)

一、押収してある総勘定元帳三冊 (証一、二、三)

一、同営業報告書一冊 (同三四)

一、同売掛帳八冊 (同四乃至一〇、三一)

一、同出荷帳二冊 (同一一、一二)

一、同値段表 (同一三)

一、同金銭出納帳三冊 (同一四、一五、一六)

一、同補助簿一冊 (同一七)

一、同ノート三冊 (同一八、一九、三三)

一、同領収書三枚綴 (同二〇)

一、同領収証一冊 (同二一)

一、同領収証六枚綴 (同二二)

一、同ノート(営業日記) (同二三)

一、同文書二枚及び出納簿四枚綴 (同二四)

一、同償却資産申告書控三部 (同二五、二六、二七)

一、同不渡手形二枚綴 (同二八)

一、同本社報告控二冊 (同二九、三〇)

一、同精算時の報告書(深井刃物関係書類)(同三二)

一、中西章の大蔵事務官に対する質問てん末書(三通)及び検察官に対する供述調書

一、和座英代の大蔵事務官に対する質問てん末書及び検察官に対する供述調書(三通)

一、平田こと可児文子の検察官に対する供述調書

一、岡健二の検察官に対する供述調書

一、福田重夫の大蔵事務官に対する質問てん末書び上申書

一、井上和一の大蔵事務官に対する質問てん末書、上申書及び検察官に対する供述調書

一、福田莞爾の検察官に対する供述調書

一、松田正夫、石原金直、各務繁喜、小川弘、田之内寅雄、大辻吉雄、早瀬正道及び渡辺逸郎の各上申書

一、守屋重利作成の浜崎英春、高島忠敏名義普通預金入金明細書写(各一通)、定期預金元帳写、普通預金元帳写、証明書、定期預金印鑑票写、通知預金記入帳写、及び別段預金元帳写

一、川島当雄作成の普通預金元帳写

一、永島順一郎作成の普通預金元票写(二通)、入金明細書(三通)、支払伝票写

一、高山広之作成の定期積金並びに普通預金元帳写

一、大蔵事務官作成の印鑑現在確認書(二通)

一、被告人福田吉蔵の大蔵事務官に対する質問てん末書(八通)上申書(七通)及び検察官(四通、添付の上申書二通を含む。)に対する供述調書

一、被告人福田吉蔵の当公判廷における供述

(法令の適用)

被告会社の判示第一、第二の各所為は、昭和四〇年法律三四号附則一九条同法律により改正される以前の法人税法(旧法人税法)五一条一項四八条一項に、同第三の所為は法人税法一六四条一項一五九条一項に各該当し、以上は刑法四五条前段の併合罪であるから、同法四八条二項により各罪に付き定めた罰金の合算額以下において、被告会社を罰金三〇〇万円に処し、被告人福田吉蔵の判示第一、第二の各所為は、前記附則一九条旧法人税法四八条一項に、同第三の所為は法人税法一五九条一項に各該当するので、所定刑中いずれも懲役刑を選択し、以上は同法四五条前段の併合罪であるから、同法四七条本文一〇条により、最も重い判示第一の罪の刑に決定の加重をした刑期範囲内で被告人福田吉蔵を懲役一〇月に処し、情状刑の執行を猶予するのを相当と認め、刑法二五条一項により、この裁判確定の日から三年間右刑の執行を猶予することとする。

よつて主文のとおり判決する。

(裁判官 塩見秀則)

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